顧客のゴールと企業のゴールをシンクロさせよ
こんにちは。小沼です。
顧客のゴールと企業のゴールをシンクロさせることは、
プロフィット・イノベーションをもたらす重要な視点の一つです。
顧客のゴールと企業のゴールを一致させることで、
新たなる利益の源泉(TSP)を見出すことができるからです。
※
TSP・・The Source of Profitの略。
逆に言えば、
なかなか思うような収益の上がらない企業ほど、
顧客のゴールと自社のゴールがズレているという
現象が見て取れます。
あなたの会社は、
顧客のゴールと自社のゴールを一致するようにしていますか?
建設産業を例にとって考えてみます。
建設産業は、我が国の基幹産業の一つです。
しかし、近年は建設産業への就労者減少の影響もあり、
業界全体は衰退の一途をたどっています。
下記のグラフをご覧ください。
建設産業を含む国内の主要産業の
売上高の推移をまとめたデータです。
ご覧いただいてわかるとおり、
建設産業の衰退は他の主要産業と比べても一目瞭然です。
2020年の東京オリンピック開催の影響で
鉄道網や高速道路などのインフラ整備が進み、
建設産業への経済波及効果は約4,745億円と言われています。
しかし、それも結局は公共投資頼みです。
建設産業全体の継続的な発展は望めません。
では、この衰退の一途をたどる建設産業の立て直しを図り、
魅力ある業界へと変貌を遂げるためにはどうすればよいのか?
そのヒントの一つとなるのが、
今回のコラムのテーマである
「顧客と企業のゴールのシンクロ」です。
次節以降で詳しく考察していきます。
先ほども申し上げたように、
顧客と企業のゴールを一致させることで
新たなTSP(利益の源泉)の活路が見出せると私は考えています。
一体、どういうことでしょうか?
下記の図をご覧ください。
住宅建設会社を事例として取り上げた
顧客のゴールと企業のゴールを図解で示したものです。
上記の図をご覧いただくとおわかりの通り、
住宅建設会社のゴールは顧客の住宅を立てた時です。
住宅が竣工した時点が企業としてのゴールになります。
しかし、一方の顧客のゴールはどうでしょうか?
顧客のゴールは、家を購入した後に存在しています。
実際に竣工された住宅で生活をしてみて、
初めて満足が得られるのです。
ここで、気づいていただきたいのです。
顧客のゴールと企業のゴールがズレているということに。
このズレを解消しない限り、
本当の意味での顧客価値(バリュー・プロポジション)を
提案しているとは言えません。
しかし、逆の捉え方をすれば、
この「ズレ」こそが企業のTSP(利益の源泉)を生み出す
ヒントとも言うことができます。
このズレを解消することこそが、
まさに利益構造の変革(プロフィット・イノベーション)につながるのです。
住宅を購入した顧客が新居で生活をして満足を得るまでには、
どのような*片づけるべき用事(jobs to be done)が発生するのでしょうか?
※
片づけるべき用事(jobs to be done)とは、
クレイトン・クリステンセン氏が著書
「イノベーションへの解(翔泳社)」で
提唱した概念です。
そして、その「用事」を片づけるためには
自社はどのようなソリューションを提供できるのでしょうか?
上記のような思考プロセスを踏まえることが
プロフィット・イノベーションにつながります。
私自身、
小学校高学年の時に
両親が一軒家を購入したという体験があります。
持ち家とは、人生の中でも
最も大きな買い物の一つと言えます。
それだけに、
購入後に顧客が自宅に使う神経もかなりのものがあります。
私の両親の例で言えば、
・ 一生住む家だから、できるだけ長くキレイに使いたい。
・ 汚れが目立ってきた時に外壁クリーニング等を実施する適切なタイミングが知りたい。
・ 壁や床などを傷つけた時や汚してしまった時の対処方法が知りたい。
etc…
このような不安や心配事を口にしていた記憶があります。
まさにこれが顧客の「抱えている用事」であり、
ソリューションの提案につながるポイントでもあります。
このような顧客の“用事”をしっかりと汲み取ることができれば、
「入居後もいつまでも長くキレイに住み続けるためのアフターメンテナンス」
といったソリューションも提供できるでしょう。
顧客への提案方法を工夫すれば、
新たな課金ポイントにつなげることもできます。
また、そこで直接利益を生み出すことはなくても、
継続的に顧客とのコンタクト・ポイント(CP)を作りあげることで、
・新築購入後に顧客が抱える悩みや不安
といったデータを集めることができます。
※
コンタクト・ポイント(CP)とは、
企業/ブランドと顧客の接点を意味し、
企業/ブランドについて顧客に何らかの印象が残る
あらゆる接点のことを指します。
もちろんそのデータを自社が住宅建設をする際に活用することもできますし、
データベースを活用した他社への住宅企画の提案なども可能になります。
いずれにしろポイントは、
「顧客のゴールと企業のゴールをシンクロさせること」です。
ぜひ今日から自覚して取り組んでみてください。
※
本投稿は、
「ビジネスモデル思考法(川上 昌直著、ダイヤモンド社)」を
参考にしております。
http://goo.gl/Y4nIZm